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【司法取引について弁護士が解説】2018年6月1日から日本でも司法取引が導入されます。

2018年04月13日

 横浜・馬車道のなかま法律事務所です。

1 司法取引とは

 司法取引が日本で実施される日が近くなり,ニュースでもよく取り上げられております。

 司法取引とは,被疑者・被告人と検察官の間で行われる取引で,捜査への協力と引き換えに,不起訴や求刑の軽減を約束する制度です。簡単に言えば,「罪を認めれば,刑を軽くしてやる」というものです。

 司法取引は,アメリカのドラマや映画でたまに見ます。その影響で,日本でも司法取引が行われていると思っている方が意外といらっしゃいます。

 しかし,日本ではこれまで司法取引は認められておりませんでした。

 公正でなければならない司法の場で取引など許されないという考え方や,えん罪の危険,偽証の危険というデメリットがあるためです。

 また,犯罪者同士とはいえ,仲間を売るような真似を法律ですすめることに対する抵抗感も日本では強かったようです。

 他方,捜査上重要な供述を得られるメリットもあり,日本でも司法取引を認めるべきという声は昔からありました。

 その結果,2018年6月1日から日本でも司法取引が実施されることになりました。

 

2,日本で導入される司法取引

(1)日本で導入される司法取引の内容

 日本で導入される司法取引は,検察官が刑事責任を軽くしたり,追及しないことを約束し,その代わりに法廷で他人の犯罪関与について証言してもらうというものです。

(2)日本で導入される司法取引の特徴

 日本でも司法取引が導入されることになりましたが,日本では反対意見も根強いため,海外の司法取引と比較すると,内容が限定的です。

①他人の犯した犯罪が対象

 アメリカの司法取引が自分自身の罪を認めることにも適用されるのに対し,日本の司法取引は他人が犯した犯罪に関する供述をしたり,証拠物を提出したりすることを対象としています。

②対象となる犯罪も限定的

 また,日本の司法取引は,対象事件が経済犯罪(汚職,脱税,談合等)や,銃器・薬物犯罪等に限定されるという点も特徴です。

 全貌解明に時間がかかる組織的な犯罪の捜査にこそ司法取引を行うメリットが大きいということです。

(3)運用(弁護人の書面による同意が必要)

 司法取引をするには,被疑者・被告人本人の同意だけではなく,弁護人の同意も必要です。弁護人は原則として協議段階からかかわり,また同意は書面でなされなければなりません。

 他方,交渉の順序(検察官サイドから司法取引を持ち掛けるか,弁護士サイドから司法取引を持ち掛けるか)は法律上定められていません。これについて,最高検察庁がまとめた当面の運用方針は,弁護士サイドから検察サイドに捜査協力の内容を提示することが一般的としており,検察官は弁護士からの提示に基づいて交渉を開始するか判断すべきとしております。また,検察サイドから司法取引に言及することについては,裁判の際に「利益誘導があった」と主張されることがあるため,行わないようにすべきとしています。

なお,裁判官は司法取引には関与しません。

(4)偽証に対する罰則規定

 司法取引の導入をめぐっては嘘の証言によって冤罪が増えることが危惧されていました。自分の罪を軽くするために,本当は事件に関与していない他人が犯罪に関わった旨を証言し,関係のない人を巻き込むおそれがあるのです。

 そのため,嘘の供述をした場合には,5年以下の懲役という罰則規定が設けられることになっております(刑事訴訟法350条の15)。