ブログ

ちかんで逮捕?その場で取るべき対応。逮捕されたらどうなるか。【現行犯逮捕】【迷惑防止条例】【強制わいせつ】

2017年08月8日

1,そもそもちかんはどういう罪名か

(1)罪名は2種類

痴漢は、迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪の2種類にわかれます。

(2)迷惑防止条例違反

 迷惑防止条例は、条例ですから、各自治体によって少しずつ内容が異なります。

 神奈川県では、神奈川迷惑行為防止条例が定められています。

 その内容は、

 何人も、

 公共の場所にいる人または公共の乗物に乗っている人に対し、

 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、

 衣服などの上から、または直接に人の身体に触れることをしてはならない

 というものです(3条)。

 これに違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(15条1項)。

 

(3)強制わいせつ罪
 暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をすると、強制わいせつ罪(刑法176条)となります(13歳未満の者に対しては、単にわいせつな行為をすること)。
 迷惑防止条例違反との違いは、暴行又は脅迫を用いている点です。また、犯行場所が迷惑行為防止条例のように公共の場所に限られておりません。
 暴行又は脅迫を用いる点で悪質性が高いため、刑罰も、6ヶ月以上10年以下の懲役と非常に重くなっております。罰金刑がないため、略式起訴がなく正式裁判となります。
 暴行といっても、殴打を伴う必要はなく、たとえば下着の中に手を入れる態様の痴漢行為は、それ自体が暴行を用いた痴漢として、強制わいせつ罪に該当します。
 平成29年7月13日の改正により、非親告罪(被害者の告訴がなくても検察官の判断により起訴できる)となりました。そのため、被害者の告訴がなくても、起訴される可能性があります。つまり、被害者と示談したとしても必ず不起訴になるというわけではなくなりました。

2,どうやって逮捕されるか
 多くの場合は現行犯逮捕ですが、防犯カメラ映像やSUICAの履歴等によって犯人が明らかになり、後日逮捕されることもあります。

 

3.万が一ちかんで取り押さえられた場合のベストな対応

 結論から言います。「とりあえず逃げる」というのは最悪です。ネットのデマを信じてはいけません。

 自らの身分を名乗り,名刺を渡すなど連絡先を教えたうえでその場を立ち去りましょう。

 被害女性が離してくれないなど,その場を立ち去るというのは現実的に難しいときは,その場を動かず,弁護士を呼びましょう。

 要するに,自分の身分を名乗ったうえで,その場で弁護士を呼ぶ,というのがベストな対応です。

 ポイントは「その場を動かない」ことです。

 話せばわかると言って駅の駅員質などにホイホイついて行けば,鉄道警察が駆けつけそのまま逮捕という事態が事実上不可避になります。

 もちろん,その場合は弁護士を呼びましょう。「当番弁護士」という制度があります。

 参考までに神奈川県弁護士会のHPをのせておきます。https://www.kanaben.or.jp/profile/arrest/index.html

 当番弁護士は,逮捕の必要性がないことを強く主張し,あなたが警察に連れていかれないよう弁護してくれますし,

 最悪警察に連れてかれた後でも速やかに釈放されるように動いてくれます。

 

 「とにかく逃げろ」というアドバイスは,

 逮捕されたら最後(つまり刑事処分を受けるまで外には出れず,会社を首になって云々)という誤った認識を前提にしています。

 なぜこのアドバイスがダメかというと,

 ①そもそも,逃げ切れない。

 ②逃げ切れず捕まった場合,それこそ逮捕の理由が認められる(逃亡のおそれ)

 ③近年は,弁護士が逮捕勾留を争うことによって早期釈放できるケースが非常に増えている(というか実感としては,ほぼ釈放されます)。

 からです。

 

 ですから,繰り返しになりますが,「捕まったら最後だから逃げる」という発想を改める必要があるのです。

 なお,最近はちかん冤罪ヘルプコール付き弁護士保険なる保険商品もあります(月500円~。https://www.japan-insurance.co.jp/lawyer/

 また,某事務所では,月980円で,ちかん冤罪にあった場合にその場で弁護士に電話で相談できる,弁護士が駆けつけてくれるサービスもあるようです。

 万が一の事態に備えて,弁護士にアクセスできるルートを確保しておくことが大事ですね。

 

3,痴漢で逮捕された後の刑事手続の流れ

 逮捕されると、最大72時間の間、ご家族でさえ面会できません。この間は弁護士以外の面会が禁じられています。
 

 このブログを御覧担っている方の中にも、まさに現在この状態であるというご家族の方がいらっしゃるかもしれません。

 本当に痴漢したのか、会社や学校はどうするのかなど,不安でしょうがないのに当の本人に直接聞くことができない。そのようなときは、弁護士に相談し、聞いてほしいこと、伝えてほしいことを頼み、面会に行ってもらってください。

 もちろん、弁護士は、ただの伝言役にとどまらず、一刻も早く釈放されるように、事件や逮捕のことを詳細に聞き取り、検察官の取り調べへの対応をアドバイスし、ご家族の方の身元引受書や上申書を作成し、検察官に対して意見書を提出し、勾留や起訴をしないように働きかけます。

 逮捕後72時間以内に勾留請求するかどうかが決定され、勾留は最大で20日間も続きます。逮捕から数えて23日も勾留されてしまえば、会社や学校における立場が危うくなってしまいます。早期釈放のためには、少しでも早く弁護士が活動を始めることが最も重要ですので、一刻も早く弁護士に相談してみてください。

 

4,示談
 前科をつけないためには、示談を成立させて、不起訴処分にすることが重要です(法改正によって非親告罪となりましたが,示談が重要なのは変わりありません)。また、起訴された後であっても、示談が成立しているかは、刑の重さに大きく影響します。

 被害者の連絡先は弁護士にしか教えてくれませんので、被害者との示談交渉には弁護士が不可欠となってきます。ただし、検察官が被害者から弁護士にも連絡先を開示しないように求められている場合は、弁護士でさえ連絡先を聞くことができません(ただ、個人的な実感としては大半の方が弁護士には連絡先を教えてくれます)。

 仮に本人同士で連絡が取れた場合も、後ろめたさから被害者の言いなりになってしまったり、さらなるトラブルを併発してしまうこともあります。また、本人同士で示談を成立させても、示談の内容を正確に検察官に伝え、処遇にあたって考慮してもらうためには、生活な内容の示談書を作成して検察官に提出する必要があります。

 具体的な示談金額は、迷惑防止条例違反違反の場合は10万円から30万円前後、強制わいせつ罪の場合は30万円から50万円前後ですが、痴漢の悪質性や被害者感情、加害者の経済力によっても異なります。また、示談にあたって、被害にあった時間帯に被害にあった電車に乗らないといった取り決めをすることもあります。