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暴行とは。相手がケガしてなくても,体に触れなくても暴行罪になります。

2017年08月22日

1,何が暴行にあたるのか

 「暴行」とは何かと問われれば、殴る、蹴るなどの行為を思い浮かべるでしょう。

 しかし、刑法上の暴行罪にあたる「暴行」とは、人の身体に直接触れていなくても、人の身体に向けられていればよいとされております。

 ですから,

 寸止めや,マイクを用いて耳元で大声を発する行為,服を引っ張る,バケツで水をかける

 これ全部「暴行」に該当します。

 

2,暴行罪と傷害罪の違いは?

 簡単に言えば、暴行の結果、被害者が怪我をすれば「傷害罪」となり、被害者が怪我をしなければ「暴行罪」となります

 (正確には、怪我のみならず、身体の生理的機能=生活機能に障害を与えることで「傷害罪」となります)。

 暴行罪として立件された場合も、被害者が怪我の診断書を警察に提出すれば、傷害罪に切り替わります。

 アザや切り傷といった怪我だけではなく、

 毒を飲ませて病気にさせる、繰り返し怒鳴りつけて抑うつ状態に陥らせる、長期間にわたり夜間無言電話をかけ続けて精神衰弱症にかからせる、

 自分が性病患者であることを認識したうえで性交して性病をうつす

 といった行為もすべて傷害罪となります。

 

3,暴行罪の刑罰はどのくらい?

(1)刑法

 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金又は拘留もしくは科料に処せられます(刑法208条)。

 もっとも、拘留や科料となることは、ほとんどありません。

(2)実際の量刑相場

ア 考慮要素

 暴行を加えた者の量刑を決める際は、暴行の程度や態様、動機のほか、示談が成立したか、十分な被害弁償をしたかといった点が重要視されます。

イ 初犯の場合

 軽微な事件で、初犯であれば、不起訴となることが多いでしょう。

 仮に起訴されたとしても、略式手続による罰金で済むことがほとんどです。しかし、罰金刑の場合も当然前科が付いてしまいます。

 前科があると再び同種事件を犯した場合に重い処分が科されるおそれが高まりますので、

 罰金刑のことを金さえ払えばいいんだろう、という風に軽くみることは決してできません。

 初犯であっても、確実に不起訴処分を得るためには、示談を成立させること、被害弁償をすることが非常に重要です

ウ 同種前科がある場合

 同種前科とは、暴行や傷害といった事件の前科のことです。

 罰金刑であっても,

 同種前科があると、起訴されたり、懲役刑となるおそれがあります。

 懲役刑となるのが初めてであれば、

 執行猶予が付く可能性が高いですが、執行猶予が付くかどうかも、被害者との示談、被害弁償の有無が重要となってきます。

エ 執行猶予中の場合

 執行猶予中の犯行の場合、起訴されてしまったら、基本的には実刑判決となり、おまけに執行猶予も取り消され、執行猶予中だった犯罪の刑期もプラスされて服役しなければなりません。

 したがって、執行猶予中の犯行の場合、示談や被害弁償を実現させて、不起訴処分を得ることがより一層重要になってきます。

(3)暴行罪の時効

 3年が経過すると公訴時効が成立し、起訴されるおそれはなくなります。

 

4,傷害罪の刑罰はどのくらい?

(1)刑法

 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます(刑法204条)。

(2)実際の量刑相場

ア 初犯の場合

 軽微な事案で、示談が成立すれば、不起訴となるか、起訴されても略式手続で罰金刑となることが多いです。

 被害者が重症だったりすると、起訴されるおそれがあります。

イ 同種前科がある場合

 事案によっては、起訴されて懲役刑となることもあります。

 懲役刑となることが初めてであれば、執行猶予が付く事が多いですが、被害者が重症の場合や前科が多数ある場合は、示談が成立していないと執行猶予が付かないこともあります。

 確実に執行猶予を付けるためには、示談や被害弁償をすることが非常に重要です。

(3)傷害罪の時効

 犯罪行為が終わった時から10年が経過すると公訴時効が成立し、起訴されるおそれはなくなります。

 事案によっては、犯罪行為が終わった時点がいつかが判然としない場合もありますから、ご不安な場合は、弁護士に相談してみることをおすすめします。

 

5,示談をするためには?被害弁償をするためには?

 被害者が知り合いの方で、直接連絡を取ることができるという場合は、ご自身で示談交渉をし、被害弁償をすることも可能です。

 しかしながら、

 被害者は加害者に対して警戒心や憎悪感を抱いてしまっている場合が多く、また近しい関係の者ほど感情的になりやすいため、

 当事者間では示談交渉が難航してしまい、時間がかかり、その間に起訴されてしまうということもありえます。

 また、被害者の連絡先がわからない場合、警察や検察は加害者に連絡先を教えてくれることは基本的にありません。

 そこで、

 弁護士に示談交渉を依頼することを強くおすすめします。

 弁護士との交渉であれば、積極的に示談に応じてくれるという被害者の方はたくさんいらっしゃいますし、警察や検察から連絡先を教えてもらうことも可能になります

 (被害者が拒否すれば連絡先を教えてもらうことはできませんが、経験上弁護士であればほとんどの場合連絡先を教えていただけます)。

 そのため、なかま法律事務所の弁護活動では、加害者の方から依頼を受けた場合、示談経験豊富な弁護士が被害者と示談交渉を行い、早期の示談成立に全力を注ぎます。

 

6,示談金の相場はどれくらい?

(1)暴行罪

 示談は双方が納得して初めて成立するものですから、相場はないともいえます。

 もっとも、罰金刑相当の暴行の場合は、罰金刑の上限が30万円であることもあり、数万円から30万円までの間で示談が成立する場合が多いです。

(2)傷害罪

 民事上の請求をされた場合に裁判で認められる金額が一つの目安となります。

 それがいくらくらいかというのは怪我の度合い等によってケースバイケースですので、具体的な金額は弁護士に直接ご相談してみてください。

 

7,正当防衛の主張をするには?

 相手が先に殴りかかってきたとか、相手が他の人に暴力を振るっていたから、自分や他人の身を守るために暴行に及んだという場合は、正当防衛(刑法36条1項)が成立し、不起訴ないし無罪になりえます。

 正当防衛の主張をするには、相手からの急迫不正の侵害があったか、反撃行為として必要性・相当性があったか、侵害を予期していたか、積極的な加害意思があったかなど、法的な専門知識が必要な論点が多々ありますから、ご自身で正当防衛であることは明らかだと思っていても、法的な知識がないと主張が認められず、本当は無罪なのに有罪判決がくだるということもありえます。

 正当防衛の主張をしたい場合は、必ず弁護士に弁護してもらうことをおすすめします。