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覚せい剤の犯罪について。所持?使用?譲渡?量刑は?

2017年10月25日

覚せい剤の犯罪は,いろいろな類型があり,それぞれで量刑が変わってきます。

1,覚せい剤に関する主な犯罪

(1)使用

 営利目的なし:10年以下の懲役。

 営利目的あり:1年以上20年以下の懲役。または、情状により、1年以上20年以下の懲役及び500万以下の罰金の併科。

(2)所持

 営利目的なし:10年以下の懲役。

 営利目的あり:1年以上20年以下の懲役。または、情状により、1年以上20年以下の懲役及び500万以下の罰金の併科。

(3)譲渡・譲り受け

 営利目的なし:10年以下の懲役。

 営利目的あり:1年以上20年以下の懲役。または、情状により、1年以上20年以下の懲役及び500万以下の罰金の併科。

(4)輸出・輸入・製造

 営利目的なし:1年以上20年以下の懲役。

 営利目的あり:3年以上20年以下の懲役。または、情状により、1年以上20年以下の懲役及び500万以下の罰金の併科。

 

2,逮捕

 職務質問をきっかけに摘発される

 家宅捜査や、売人とのメールや通話履歴から発覚する

 ことが一般的です。

 

3,刑罰はどのくらい?

(1)起訴率

 覚せい剤事犯の起訴率は他の犯罪に比べて高いです。

 所持の現行犯で逮捕された場合や、尿検査で陽性反応が出た場合、初犯であっても、起訴される場合がほとんどです。

 尿検査で陽性反応が出た場合、客観的な証拠が出ているわけですから,覚せい剤を摂取したことを争うのはとても難しくなります。

 他人に無理矢理注射された等の事情があり、かつ、それを裏付ける証拠がない限り、起訴されると考えたほうが良いでしょう。。

 

(2)覚せい剤使用の量刑相場(営利目的なしの場合)

ア 考慮要素

 覚せい剤の使用の場合、使用量、使用頻度、使用期間、使用方法、同種前科の有無・回数から、どれだけ覚せい剤に依存しているかを総合的に判断します。

イ 初犯の場合

 使用料が微量であれば、一般的には、懲役1年半、執行猶予3年となる場合が多いです。

 もっとも、これは相場であり、情状によってはこの限りではありません。たとえば、歌手のASKA氏は、使用期間が長期に渡っていたことや、MDMAを多量に所持していたこともあり、初犯にもかかわらず、懲役3年、執行猶予4年の刑が宣告されました。

ウ 同種前科がある場合

 同種前科とは、薬物関係の前科のことです。

 執行猶予中の場合は、実刑判決となります。この場合、懲役1年半以下の実刑判決となる場合が多いです(なお、執行猶予中だった前科の刑期と合算されますので、約3年間刑務所に収監されることになります)。

 また、執行猶予が終了していても、執行猶予終了後5年以内の再犯ですと、実刑になる可能性が高いです。他方、前科の執行猶予終了後概ね10年が経過している場合は、再び執行猶予が付く可能性が高くなります。

エ 3回目の場合

 1年8か月から2年程度の実刑となる場合が多いです。

オ 4回目以上の場合

 前刑にさらに数ヶ月加重されて実刑となる場合が多いです。

(3)暴行罪の時効

 3年が経過すると公訴時効が成立し、起訴されるおそれはなくなります。

 

4,覚せい剤事件で逮捕されてしまったら

 覚せい剤事件では、一般的に、逮捕・勾留を免れない場合が多いです。これは、覚せい剤の廃棄が容易であることや、仲間と口裏を合わせるなどして証拠隠滅を図るおそれが高いためです。

 しかし、起訴後の保釈については、初犯であれば、身元保証人を用意し、弁護士が保釈請求をすれば、認められる可能性が十分あります。

 

5,執行猶予付き判決を得るには

(1)反省と更生

 覚せい剤事犯は、被害者がいない犯罪です。

 そのため、

 他の事件のように被害者に謝罪・弁償するために示談,ということが想定できません。

 本人の反省の情と再犯しない意思の強さを,検察官・裁判官に理解してもらうことが肝要です。

 覚せい剤依存に関する本を読むなど,自分自身の言葉で、覚せい剤をやめるためにこれからどうするかという方針を具体的に語れるようになる必要があります。

(2)家族と同居し、定職につく

 覚せい剤依存は生活習慣と密接に結びついています。

 覚せい剤依存を克服するためには、生活習慣を変える必要があり、

 そのためには日常的に家族の監督を受けることも重要です。

 具体的には、ご家族の方から監督の誓約書を書いてもらうなどします。

 また、

 定職についていない方の場合、今後就職活動をして、定職につくことで生活習慣を改善させる誓約をすることも効果的です。

(3)更生支援団体、専門治療機関

 覚せい剤依存は1人の力で克服することが難しく、再犯率が非常に高いです。

 そこで、更生支援団体や、専門治療機関の治療プログラムを受けることで、本気で覚せい剤依存から脱却する意思があることをアピールします。

(4)覚せい剤の入手ルートや覚せい剤関連の仲間のことを自白する

 覚せい剤の入手ルートや仲間について隠すと裁判官の印象を悪くするおそれがあります。なぜなら、覚せい剤の入手ルートや仲間の存在を隠すことは、まだ覚せい剤に未練があり、再び同じルートから覚せい剤を入手するという心の表れではないかと捉えられてしまうからです。

 覚せい剤の入手ルートを明らかにしたうえ、二度とその入手ルートの人たちと関わらないことを誓約することが、反省と更生をアピールすることにつながります。